大会記
パンデミックとなった新型コロナウイルスの猛威で、2007年から連続開催されていた「コマツオープン」も、2020年大会は残念ながら中止となってしまいました。ウィズコロナの2021年は、通常開催から非開催までの全方向で準備が進められ、厳重な感染対策が取られる中、一般非公開ではありましたが2年ぶりの大会開催となりました。ギャラリー不在の一見静かな3日間、しかし確実に熱く激しいシニアプロの戦いは、2013年全米プロシニア覇者である井戸木鴻樹プロが、通算17アンダーでシニアツアー通算3勝目を、コマツオープン初優勝にて飾りました。
最終日、通算10アンダーで首位発進したのは、シニアツアー初優勝を目指す清水洋一プロと井戸木鴻樹プロの二人。いきなり清水プロが1番からの3連続バーディーでスター トダッシュ、井戸木プロも2番でバーディーとするも早くも2打差となります。しかし井戸木プロは「きっと大混戦に違いない、自分のプレーに徹したら必ずチャンスは来る」と言い聞かせていたそうです。5番パー5のロングホールはお互いにバーディー、続く6番パー4では井戸木プロが2メートのバーディーチャンスをしっかりと決めて1打差に詰め寄ります。迎えた前半最終9番ホールで清水プロのティーショットはフェアウェイ左ラフにつかまり、寄せワンのパーパットも無情に外れ痛恨のボギー、とうとう通算13アンダーで両プロが並びました。
バックナインに入り6ホール目15番ホールを終えた時点で、1バーディーの井戸木プロに対し清水プロは2バーディーでまたまた単独首位に立ちます。残りは3ホールとなった 運命の16番パー3、オナーの清水プロはカップオーバーながらグリーンオン、対して追いかける立場の井戸木プロはグリーン外してバンカーに掴まります。ピンまで20ヤードの大ピンチ、この時井戸木プロは「キャリー12ヤードのショットを打ち、後は傾斜を利用して転がし寄せれば・・・」とイメージしたそうです。そしてサンドウエッジを振りぬいたボールは思い通りの弧を描き、落下後は傾斜を転がり始め見事にカップイン、何とチップインバーディー!この時点で並ばれた清水プロのバーディーパットはピンまで10メートル、ファーストパットは何と2メートルショート、続くパーパットは非情にもカップの縁に止まって痛恨のボギー!バーディー、ボギーの大逆転が生まれます。井戸木プロは、続く17番、18番も連続バーディーとしてつけ入る隙を与えません。そしてコマツオープン初優勝の栄冠に輝いたのです。毎回上がり3ホールに何かドラマが起きる「コマツオープン」、今年は16番パー3がドラマの最大の舞台となりました。